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『ミラクル古文単語396』のコンセプト


ドラマを利用して、楽しく覚える

  圧倒的に勉強しやすく、めちゃくちゃ覚えやすい古文単語集を作りたい。しかも、今まで
誰も見たことがなかったようなワクワクしながら楽しんで学習してもらえるような単語集にした
い。
 もちろん内容は、センター試験から、難関私大・国立二次までカバーできるようなオール
マイティの本格派。
 そんな夢のような単語集を実現するために、まず、この『ミラクル古文単語396』で利用したの
は「ドラマ」です。
 誰しも、大好きなマンガのセリフや、ドラマの有名なシーンのセリフなど、いつの間にか覚えて
しまったという経験はあると思います。『ミラクル古文単語396』では、そのドラマの効果を利用
しました。「面白いストーリーの中で、効率よく単語を覚える」……これが本書の第一コン
セプトです。
 そのために書き上げたのが、『ラヴソングは歌えない』です。
 様々な悩みを抱えながら、ロックに青春をかける少女「愛」の成長物語『ラヴソングは歌えな
い』が、この単語集全体を貫くドラマになっています。
 まずは、左ページで学習した四単語を、右頁の「ラブソングは歌えない」一話分の中に
ちりばめて、確認できる構成になっています。
 この『ラヴソングは歌えない』では、一見無駄だと思われる風景描写や心理描写に、あえて力
を入れてあります。しかし、実は、このような具体的な描写が、場面をリアルにして、記憶定着
率を高めることになるのです。
 しかも『ラヴソングは歌えない』は、第1話から第99話、そして完結編に向かって、一つの完成
された小説世界を作り上げています。
 連続テレビドラマを見るような感覚で、学習を進めていってほしいと思います。楽しみなが
ら、何度も繰り返し読んでください。ドラマチックな場面と一緒に、自然と古文単語が記憶
されていくことでしょう。

合否への影響が大きい単語から学習する配列

 『ミラクル古文単語396』に施した工夫は、「ドラマ化」だけではありません。実は、この「ドラマ
化」同様に、苦心を重ねたのは、単語の配列なのです。
 『ミラクル古文単語396』の単語配列は、長年の指導経験から考えた、最も効果的と思
われる新しい配列、「合否に影響する度合いを考慮した配列」です。今までの単語集によく
あった配列との違いを説明してみます。
 例えば、アイウエオ順配列や品詞別配列では、偏った単語ばかり、学習の初期に出会うこと
になります。「ア行の単語は得意になった」とか「動詞だけは覚えた」では、困りますよね。
 また「頻度順配列」というものもあります。しかし、古文の中で最も多く出るような単語は、学
校の授業などでも触れる機会が多く、それほど気配りして、単語集で学習せずに済む単語も
多いのです。
 例えば「いと」です。この単語は、古文の中に、たいへん頻出する単語ですが、この語
が、「たいそう」という意味だということを知らない受験生は少ないと思います。また、万が
一、この単語の意味が分からなくても、元々が「たいそう」という意味ですから、「いと」の後ろの
単語の意味がわかれば、全体の文脈はつかむことができます。このような単語は、たとえ
度が高くても、「合否への影響は低い単語」と考えて、この単語集では重視しません(「い
と」はこの単語集のP.194に収録しました)。
 また「出題頻度順配列」というものもあります。一見、効果的に見える配列ですが、これも曲
者だと思います。
 例えば「うたてし」という単語と、「かなし」という単語を比べてみましょう。どちらも、よく出題さ
れる単語です。
 しかし、「うたてし」という単語に「いやだ」という意味があるというのは、比較的、学生諸君に
とっては覚えやすいようです。また、仮にこの単語の意味が分からなくても、大きく全体の文
脈を取り違えることは少ない単語です。それに比べ、「かなし」という単語が、「いとしい」とい
う意味を持つというのは、学生諸君にとっては困難な学習です。しかも、この単語の意味が分
からないと、重要な人物関係が混乱して、傍線部どころか話全体が分からなくなってしま
うこともあるのです。
 合否への影響度合いとしては、当然、この「かなし」の方が「うたてし」よりも重要になる
ということです。(「かなし」はP.10に、「うたてし」はP.120に収録してあります。)
 この合否への影響の大きさという観点は、各単語にあてた現代語訳にも生かされています。
 例えば、「いそぎ(P.82)」という単語には、「急ぐこと・急用・準備」といった意味がありますが、
合否への影響が大きいのは、「準備」という意味で使われた場合です。「急用」の意味も大切で
すが、「準備」程には重要でありません。「急ぐこと」という意味は、覚えるほどのことでもないで
しょう。
 以上のことから、本書の現代語訳では、「準備」を赤字に、「急用」は黒字にし、「いそぐこと」
については、掲載していません。 
 受験生に必要なのは、辞書の暗記ではありません。辞書的な正確さよりも、受験勉強用の最
大効率化を願って、現代語訳にもこだわってみました。

無理なく覚えられる、考え抜かれたさまざまな工夫

 さらに、『ミラクル古文単語396』の単語配列では、「四つセット」ということにも苦心してみ
ました。例えば、P.16です。
「うつくし(小さいものに対して、かわいい)」を最初にして、次に、ほぼ同義でありながら、やや
ニュアンスの違う「らうたし(弱いものに対して、かわいい)」を並べ、次に、現代語の「美しい」に
近い意味を持つ「きよらなり」を、そして、最後に「きよらなり」よりも整然とした美しさを表す「う
るはし」をセットにしてあります。
 ぜひ「うつくし」を中心にした四単語のネットワークを見渡してほしいと思います。すべての
ページという訳にはいきませんでしたが、そのような配列も心がけてみました。
 加えて、すべての単語に「⇒欄」を設けて、「語源や単語の肝」を記してあります。例え
ば、なぜ「をかし(P.10)」という単語が、「風情がある」にも「興味がある」にも「滑稽だ」にもなる
のか、その「本質=肝」を知ることで、一見、無味乾燥な暗記に見える単語の学習を、「学問」
「教養」のレベルに深めていってほしいと思います。 
  しかし、長々しい説明では、読むのも飽きます。なるべく、ピリッとした短い説明の中に、その
単語の本質を記しました。
  例えば、「をかし」は「⇒『おっ』と興味を引かれたような感情に広く使われる語」といった感じで
す。これに対して「あはれなり」は「『ああ』というため息」が単語の肝ですし、「かなし」は「胸キュ
ン」という感じが肝なのです。
  そのほかにも、
・学習の継続しやすい、二ページ読み切りの規則的なレイアウト
・「敬語」「人生に関わる単語」「天皇・宮中に関する単語」といった、単語の三大勘所を
まとめなおした付録編
・例文の理解を助ける充実した補注
 などなど、学習しやすさのため、こだわり続けましたる

入試直前に効果的な、袋とじ付録『ラヴソングは歌えない 完結編』

 袋とじ『ラヴソングは歌えない 完結編』は、この本のクライマックスです。
 今まで学習してきた396単語、およびその関連語の中から、さらに172の重要単語を、再度、
ストーリーの中にちりばめて、『ラヴソングは歌えない』の完結編に仕上げました。
 わずか14頁の『ラヴソングは歌えない 完結編』を繰り返し読む中で、多くの重要古文単語が
再確認できるはずです。また、受験直前の最終チェックにも、ぜひ利用してください。
 
 長年、教壇に立ちながら、多くの受験科目を抱えて苦しむ生徒を見るたびに、「古文の受験
勉強の負担を、なんとかして少しでも減らしたい」と思ってきました。古文単語に苦労する時間
を減らすことができたら、その分の時間を、英単語の暗記にも、数学の問題演習にもまわせる
のです。
 この『ミラクル古文単語396』が、「なかなか古文の勉強に時間を割けない君」にとって、「出会
えてよかった」と思ってもらえるような本になっていたら幸いです。  
 
『ミラクル古文単語396』
「なかなか古文をに時間を割けない君へ」改



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